目次

エピソードI

   1.蓬莱探偵事務所へようこそ
   2.アシスタントはメイド
   3.あの日、シンガポールで
   4.レイ・ガーデンにて
   5.探偵といっても、ちょっと変わってるんです。
   6.暗闇からきたもの ~前編~
   7.暗闇からきたもの ~後編~
   8.フラッシュバック
   9.原因は往々にして、複雑なようで単純なものです。
  10.最後の場所を訪ねるのは、幽霊探偵の仕事です。
  11.闇へ誘(いざな)う光
  12.聡子の独白1 -はじまり-
  13.聡子の独白2 ~1942年~
  14.聡子の独白3 ~シンガポール大検証~
  15.あっけない結末と美和子の叫び

エピソードII

   1.事件の推理と駒子の入院
   2.病院にいればいるほど、元気がなくなるのは何故?

終わりのない物語を書こうと思い立ち、大好きなシンガポールを題材にしていきます。
すべてフィクション、そして登場人物も知っている名前であっても、キャラクターとして登場しているだけで、すべて架空の物語です。

良かったら、感想などお聞かせください。

【イメージ写真】

北海道無料写真素材集 DO PHOTO
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Encyclorecorder
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背景写真補完の会
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病院にいればいるほど、元気がなくなるのは何故?

検査用の血液を取ったりした以外は、2日間ゆっくりと休んだ駒子は、3日目に部屋を移ることになった。

だだっ広い4人部屋で部屋代は半額になるといわれたのだが、なぜかその部屋は空っぽで、蓬莱さん専用特別室ねと看護師に笑われた。

どこでも好きなベッドを使ってよいといわれ、なるべく明るい場所にしようと窓際の入口からは向かって左側のベッドを使うことにした。

「・・・・とはいえ、なんだか不気味」

ガラ~ンとした広い部屋にぽつんと一人でいるとなんだか気味が悪い。

そこで、12時間分のTVが見られるというプリペイド式のカードを廊下の自動販売機で購入して使ってみたのだが、その部屋にある4つのTVはすべて利用できず、どれもザーっという砂嵐状態でせっかくのカードも無駄になってしまった。

「しょうがない。ラブちゃんにパソコン持ってきてもらうか」

とても何の音も映像もない部屋にはいられないと着替えを持ってくる予定になっていた助手の愛子に連絡し、ミニパソコンとDVDを数枚持ってきてもらうことにした。

「先生、なんだか随分贅沢な感じですねぇ」

霊感などまったくない愛子には、この状況が贅沢に映るらしい。

「そうだけど、夜になったら広すぎるこの部屋が憎くなるかも知れないわ」

真面目に言った駒子だったが、愛子は軽く笑っただけで、真剣に受け取ってはくれなかった。

4人部屋とはいっても実質は1人なので、イヤホンもすることなく小さな音にして、DVDをつけっぱなしにして、なんとか怖さを和らげていた。

夜---

この部屋に移動して最初の夜だ。
ひとりで退屈だろうと担当の看護師が駒子の部屋でしばらくお喋りをしてくれた。

「じゃあ、ゆっくり眠ってくださいね」

看護師はそう言うと、ベッドの周りのカーテンを引いて出て行った。

「お休みなさい」

看護師を見送ってから横になった駒子。
カーテンを引いたことで、視界は狭くなったが、囲まれていることで却って落ち着くことが出来た。

しばらくして消灯時間になったので、部屋の電気はすべて消し、ベッド脇の蛍光灯だけ残しておいた。

その頃は、特に怖さなどはなくなっていたのだが、DVDを見るのに暗闇では目に悪いと思ってのことだった。

小さな音で映像を流し続けていたら、そのうちウトウトと眠くなり、まぶたが重くなった。

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事件の推理と駒子の入院

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「美和子さんは、紅茶でしたよね。ハイ」

「おー、このカップ、ローゼンタールね」

「あら、ご存知ですかぁ?先生のコレクションなんですよー♪」

愛子は嬉しそうに言うと、弓なりになっている取っ手のついたカップを美和子の目の前に置いた。

「はい、先生はコーヒーheart

相変わらず時代遅れのぶりっ子ぶりだが、コーヒーの淹れ方は最高の愛子が駒子のカップを差し出して言った。

「ありがとう」

「では、ごゆっくりぃnote

愛子は笑って手を振りながらドアの奥へ去っていった。

「ふー。なんか、日本に帰ってきたって感じがするわぁ、このゴテゴテしたすっごい内装も今はなんだか素敵に見えるし」

熱い紅茶をすすりながら、美和子が言った。

「そうねぇ・・・」

「あら、こまりんさん、なんか元気ない・・・っていうか、顔色悪いわよ」

「う~ん、やっぱり最後のがキツかったわぁ」

「病院、行った方がいいんじゃない?なんなら付き合うからさ、行こうよ」

「そうよねぇ、さすがにシンドイし、行こうかな」

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あっけない結末と美和子の叫び

Fort02

「・・・聡子さん、どうなったの?」

駒子の力でフォートカニングパークにいた全員が、高井聡子に起こった出来事を知り、力尽きた駒子を抱えるようにして、美和子が聞いた。

「もう・・・無理。力が強すぎるのよ」

駒子は地面に膝をついてやっと息をしているという状態だった。

「あの光・・・まだ消えてないわ」

目の前にある光は、ゆらゆらと漂うようにその場に留まり、駒子たちをその場に釘付けにしていた。

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聡子の独白3 ~シンガポール大検証~

歴史に疎い私には、藤間さんの話は衝撃的でした。

*****

真珠湾奇襲攻撃の1時間前、つまり1941年12月8日未明に、日本陸軍はマレーシアに上陸し、イギリス軍の要衝だったシンガポールに向けて南下し、翌年2月にシンガポールに到達し、イギリス軍を降伏させた。

山下奉文大将率いる日本陸軍は、イギリス軍の降伏から4日後の1942年2月19日に街中にこんな紙を貼り出した。

昭南島(シンガポールの日本名)在住華僑18歳以上
50歳までの男子は、きたる2月21日正午までに左の地区に集結べし。(以下略)

大日本軍司令官

この貼紙を見て、華僑の人々はついに恐れていたことが起こったと震え上がったという。

彼らは長い間蒋介石の重慶政府に莫大な財政援助を続け、反日運動を積極的に行ったからである。そして、戦争が始まると華僑義勇軍を組織して日本軍と交戦していたことも、このことを恐れる原因となっていた。

中でも、マレー共産党員で組織された華僑の抗日華僑青年の一隊は、日本軍の悩みの種だった。

イギリス軍が降伏した後も彼らは隊服を捨てて市民の間に紛れ、あちこちで放火や集積弾薬の爆発事件を引き起こしていたからだ。

これは明らかに国際法違反であり、このゲリラ戦についてジャーナリストのイワン・モリソンは、「この軍事的闘争の結果としてシンガポールの中国人が日本軍によって過酷な報復をされるであろうことを憂慮する」と書いている。

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聡子の独白2 ~1942年~

眠れない夜を過ごし、窓から朝日が差し込んできた頃、ずっと続いていたカシッという音が消えました。

何をするにしても、あの絵の側を通ることになるので、長いこと動けずにいましたが、やはり夜と違って明るいということは、人を元気にするのですね、思い切って絵を見に行くことにしました。

Fort05

「・・・・・・・」

その絵は、なにごともなかったように綺麗な姿を私に見せていました。

「どうして・・・・」

もしかしたら、仕事で疲れているのかも・・・そう思いながらも、そんなことはないという思いもあって、しばらくその絵に見入ってしまいました。

「・・・・・?」

気づくと、額の後ろから何かがはみ出しています。

「なんだろう」

恐る恐る手を伸ばして触ると、紙切れのようだったので思い切って少し引っ張ると、スルッと落ちていきました。

「・・・・・なにこれ?」

それは、5cm四方の茶色がかった紙切れで、よく見ると文字が書いてあります。

「・・・・monster will kill her?」

書かれた文字は英語で、訳せば「怪物が彼女を殺す」でしょうか・・・。

「いったいなにかしら」

以前見た時は、こんなものなかったはずなのに、今になって額の裏から出てくるなんて、偶然といっても昨日のことといい、なんだか気味が悪くて、すぐにその紙をゴミ箱に捨てる

と、シャワーを浴び、服を着替えて外に出ました。

一睡もしていないのに、その時はまったく眠くもなく、却ってすっきりとした気分でした。

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聡子の独白1 -はじまり-

シンガポール、クラークキー駅から徒歩5分程度の場所に会社が借りてくれたコンドミニアムがありました。

キッチンもわりと広めだし、リビングとベッドルーム、それにウォークインクローゼットのある1人用のコンドでしたけど、荷物もたいして持っていない私には、十分な広さでした。

それにバスルームには、この程度の部屋には珍しくちょっと深めのバスタブがあり、私が日本人ということで、会社も気を使ってくれたんだなと分かりました。

35階建ての26階と眺めもなかなかのものです。

緑が多い地区でしたけど、周りは近代的なビルも多くあり、特に夜景が綺麗でした。

常夏というのが、どうかなぁ~と思ったことなど、窓から宝石のような夜景を眺めていたら、すっかり忘れてしまいました。

ただ、ひとつだけ気になったことがあります。

それは家具付きの部屋ということは聞いていたのですが、リビングの壁に綺麗な女性の絵が掛けてあり、それは絶対に外してはダメという条件がついていたんです。

ちょうど、A4サイズをもう一回り大きくしたくらいの、シンプルな額に入った女性の絵でした。

署名などもかすれてしまって読めないので、誰が描いたのかは分かりません。

なんか、見ていると悲しい気持ちになってくるようで、どうしたものかと思いましたが、以前からの持ち主の絵で、この部屋にぴったりだからと賃貸にしても外すのを許さないとのことでした。

なんかいわくがあるのかと、ちょっと怖い気もしましたが、以前まで住んでいた女性と会ってお話しても、特に何かが起こったとか、そんなことは一切ないとのことなので、私が払う分はとてもリーズナブルな金額だったので、この程度の条件ならなんてことないわと入居の際に絵を外さないという承諾書にサインをしました。

今から考えれば、そんな承諾書があるってこと自体、変な話だったんですよね。

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闇へ誘う光

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フォート・カニング・パーク。

シンガポールの創設者であり、イギリスの植民地建設者であるトマス・スタンフォード・ラッフルズ(Sir Thomas Stamford Raffles、1781年7月6日 - 1826年7月5日)がシンガポールに入島し、邸宅を構えたことで知られている。

ラッフルズ卿がこの地を踏んだのは1819年のことだが、この場所はそれ以前からマレー語で「Bukit Larangan(ブキ・ラランガン、Forbidden Hill:禁断の丘)」と呼ばれ、神秘的な雰囲気の場所であった。

シンガポール海峡が一望できるこの高台の場所をいたく気に入ったラッフルズ卿が、自分の住まいを建てるのに、この場所を選んだのも無理はない。

また、ここには英国植民地時代に英国軍が砦として使用し、地下を掘って作った司令部は、現在「The Battle Box」として一般開放されており、見学することができる。

戦争の名残りがここかしこに見られ、ジョギングやデートコースとなっているところでありながら、なんとなく物悲しい風情があることでも有名な場所だ。

歩いていると砲台などの展示もあったりと、あまり楽しい雰囲気の場所ではない。

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最後の場所を訪ねるのは、幽霊探偵の仕事です。

高井の妹、聡子の死の真相は、聡子の遺体が見つかったフォートカニングパークに行って確かめることになった。

駒子がそういうからには、聡子をあちらの世界に連れて行ったのは、この世の者ではないということになる。

科学的な説明は何もつかないが、高井はそれでもいいらしい。

昔から憧れだったフィルム編集の仕事をベンチャー企業に就職してすることになり、あるプロジェクトの一環としてシンガポールの企業とのコラボレーションで作品を仕上げるという企画があった。

新人ではあったが、やる気と腕を見込まれた聡子にチームの一員として働かないかという誘いがあったのは、就職して2年目のことだった。

以前から、美和子にシンガポールの良さを吹聴されていた聡子は、せっかくの機会でもあるからとふたつ返事で承諾し、6年前のある日、シンガポールに引越してきた。

手ごろなコンドミニアムを借りてもらい、至れり尽くせりで、半年くらいは兄の道隆にも美和子にもしょっちゅうメールで仕事や日常生活の報告をしてきていた。

それが1年を過ぎる頃から極端に少なくなってきて、高井や美和子がメールを出しても、なんだか的を射ない返事が返ってくるようになり、心配になった高井が訪ねて行こうとしても、仕事が忙しいだけだからと断られてしまった。

「なんだか心配なんだよ」

高井から美和子にそんなメールが入るようになり、美和子も心配し始めていたのだが、仕事の忙しさも手伝って、聡子にメールや電話を入れてみるくらいしかできなかった。

聡子からはなかなか返事も来ず、「もしかしたら、ボーイフレンドでもできたんじゃないの?」と高井に言ってみたものの、なんとなく不安が胸に広がっていた。

そして、5年前の6月にその不安は現実となった。

高井からの電話で、聡子がシンガポールで亡くなったという連絡が入ったのだ。

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原因は往々にして、複雑なようで単純なものです。

「なんだぁ~、そういうことだったのか」

思いがけず現れた高井道隆に誘われ、浅井美和子と蓬莱駒子はリージェントホテル2階にあるレストランで朝食ビュッフェを食べに来ていた。

とはいえ、美和子は二日酔いで食べ物どころではなく、フルーツジュースやコーヒーを飲んで目を覚まさせているといったところだ。

高井と久しぶりの再会を果たし、駒子との面会を頼まれてから高井がどこかへ行ってしまい、そのことを心配して美和子が駒子に調査を依頼したのが2日間前の昼間だった。

「ごめん。まさか行方不明扱いされてるなんて思いもよらなかったよ」

「単にホテルの従業員がメッセージを忘れたなんて、ミステリーのミの字もないオチだったわねぇ」

駒子は憮然とした表情の美和子に舌を出してみせた。

「ふん!」

「いやぁ、僕がちゃんと確かめなかったのがいけなかったんだ。すまない。
仕事上のトラブルで、かなり焦ってたから、思いが至らなかったんだ」

頭を下げる高井を見ていたら、これ以上大人気ない態度もどうかと美和子は作り笑いで応じた。

「トラブルの方は大丈夫なんですか?」

美和子の表情を面白がりながら、駒子は高井に聞いた。

「ああ、急いで対応したから、なんとか収まった。だからすぐシンガポールに戻って来られたんだ。まさか、僕が行方不明だと思われてるなんて想像もつかなかったから、駒子さんから連絡を貰った時には、本当に驚いたよ」

「・・・ん?こまりんさんから高井さんに連絡があったの?」

怪訝そうに聞く美和子に高井は「そうだけど?」と特に悪びれもなく言った。

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フラッシュバック

「なんだぁ~つまんない」

「何が?」

「薔薇の花びらのお風呂が見たかったのに」

「あじゃみんさん、嫌だっていったじゃない!」

「私は入りたくないけど、こまりんさん入るでしょ?どんなもんか見物したかったのよ」

「バスタブに薔薇の花びらが浮かんでるだけだってば」

「だからぁ、どんな風に浮かんでるとか、薔薇の香りはするのかなぁ~とか、
それにバトラーがどんな顔して薔薇の花びらをお湯にぶち込むのかとか見たいじゃん」

「ぶち込む?」

「あら、ちょっと下品だったかしら、ごめんなすゎ~いheart

「飛行機でワイン飲みすぎじゃないの?」

「あら~、どうして分かったのぉ~。機内のワインにしちゃ、あれ美味しかったわ。
さすがワイン祭って銘打ってるだけあったわ。あ~、なんか気持ちいい~♪
ババンババンバンバン♪ビバノンノン♪キャッハッハ#」

「トシがばれるわよ。まったく何をしに来たんでしたっけねぇ」

「・・・うふふふ。何だったっけぇ~。ケケケ#」

「ダメだこりゃ」

ベッドの上で大の字になってケタケタ笑っている美和子を横目に駒子はスーツケースから荷物を取り出して整理していた。

ここは、リージェントホテルの1305室。
宿泊しようと思っていたセントレジスは、手配をした愛子によると「なんちゃらってホテルのイベントがあって、5日間は満室」と言われ、仕方なく近くで気に入っているリージェントホテルを取ったのだ。

JALのビジネスクラスに乗ったのだが、欧州ワイン祭と銘打ったイベントの最中で、珍しいワインが何種類も用意されていたため、ワイン好きの美和子は「あっ、じゃぁ、こっちも飲んじゃおうかなぁ」と笑顔のフライトアテンダントに勧められるがままに飲みまくった。

駒子はワインよりもスピリッツ系のお酒が好きなので、いつものジンを飲んでいたのだが、「ちょっと大丈夫?」と心配で声を掛けても、既に上機嫌だった美和子には通用せず、ディナーのビーフシチューと共に、グラスで次々にワインを飲んでいたのだった。

「お風呂先入るよ~?」

一応声を掛けてみたが、さっきまで笑っていた美和子は案の定高いびきで、駒子の声などではびくともしないのだった。

「私も早く寝るかな」

独り言を言いながら、駒子は薔薇とは無縁のバスルームに向かった。

Cloud

「なんだか変な空」

翌朝目覚めてカーテンを開けてみると、雨が降るという予報はなかったが、黒い雲が太陽を覆っていた。

墨を落としたような、なんとも不気味な色だった。

「イテテテ」

声がしたので振り向くと、美和子が頭を抑えながら起き上がろうとしていた。

「そりゃー、あれだけ飲めば二日酔いにもなるわよねぇ」

「・・・・・・・・・・・・・」

「薬あるけど飲む?」

「さすが酒飲み!二日酔いの薬を持ってるなんて最高」

「ただの頭痛薬です」

「なんでもいいから、早く頂戴」

「はいはい」

バッグから薬入れを取り出し、頭痛薬を美和子に渡した。

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