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暗闇からの声(終)

外は綺麗な月が出ているので道を歩く時は周囲もよく見えましたが、中に入るとその光も途切れ、懐中電灯の光だけが頼りです。

「・・・・・・・・」

映像や写真でよく見る、廃墟の雰囲気そのままで、何も出なくても結構怖いところだと思います。
出てくる時の勢いはどこへやら、みんな一歩の足取りが重くなっていました。

「・・・・ねぇ、あれ、何かしら」

私以外にもう1人メンバーだった女性が遠く、先の方を指さして言いました。
ちょっと遠くて懐中電灯の光も届かないのですが、廊下らしき通路の先に人影が見えました。

全員に緊張が走ったのが分かりました。

『こっち~こっち~!いるよ~!!』

じっと目を凝らしていたら、その人影からなのか、前方から呼ぶ声が聞こえてきました。
大きな叫び声といった方が正確かも知れません。

一瞬、どうしようか・・・という空気が流れましたが、これは肝試しですから、気合いを入れて声の方に進むことにしました。
そうはいっても怖いのか、なんだかみんなが団子状態でした。

「足下・・・気を付けて」

とにかくゆっくりと声のする方へ歩いて行くと、その廃墟の廊下は、先の方が崩れていて、崖になっていたのです。
声のする方へそのまま進んでいたら、下まで落ちていたでしょう。
ただし、暗くてどのくらいの深さかは見えませんでしたけど・・・。

「これ以上は無理だから帰ろう。帰った方がいいよ。」

そういう私に「そうだな」と全員が同意し、元来た道を引き返すことにして、また歩き始めたのですが、横にある真っ暗な部屋から、「まだ見て行こうよーーーーおおおおおおーーーーー」と声が響いてきたのです。
全員が聞こえたらしく、立ち止まってしまいました。

「まだ帰るなんて早いよーーーー、こっちも見て行こうよぉおおおおお」

「いいえ!帰ります!」

闇からの声を遮るように叫んで、5人で固まりながら廃墟を出ました。
みんな、声を発することもせず、誰も振り返ろうとしませんでした。

足早に戻ると、待っている人たちに危険であることを告げ、肝試しを中止することにしたのです。

みんながあれだけはっきりと声や姿を確認できたのですから、あの廃墟には相当強い霊がいるのだと思います。
今思い出しても、背筋がぞっとする場所でした。

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