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暗闇からの声2

その廃墟は、元は病院でした。

なぜそんな寂しいところに建てたのかは不明・・・というくらい、山の中ですし、周辺は普段ほとんど人通りがありません。

集合は、夜10時。
事務所の前に集合でした。

肝試しといえば夏の風物詩ですから、気分も高揚しますよね。
集まった人たちみんな、それぞれうちわや懐中電灯を持ったりして、ワイワイと楽しそうにしていました。

抽選で、5人ずつ10班に分かれたのですが、私の班は3番目に出発することに決まりました。
トンネルまではぞろぞろと全員で歩いて行き、そこから1班ずつ先に進みます。

その班がトンネルに帰ってきたら、交代で次の班が出発なので、廃墟には常に1つの班が入ることになります。
帰ってきた1班は、楽しそうにおしゃべりして、「怖かった~」という声も明るい感じでした。

そして2班目が出発。

「泣いて帰ってくるなよー」

なんて、声が掛かったりして、結構盛り上がっていました。
2班は、20分くらいして、戻ってきました。

「ただいま~!無事生還しましたぁ~」

「なんだ~!さすが廃墟!地元では有名なんだな~!大勢、肝試ししてるよ~!」

「怖いらしくてさ~。死ぬ~!とか、くっそ~!殺してやる!とか叫んでたよ」

「最近の若い奴らは元気だね~!」

2班は、比較的年配の方が多かったので、若者が肝試しに来ているのかと思っていたようです。

大声で笑いながら聞いたことなどを報告してくれました。

「よーし、今度はうちの番!」

3番目に出発するのは、私たちの班です。
1班も2班も楽しそうに帰ってきたからか、ちっとも怖がっている風もなく、リーダーの掛け声をきっかけに歩き始めました。

「俺たち以外にこんなところまで肝試しに来るなんて、ここって有名なんだなぁ」

「確かに。でも、それじゃぁ、あんまり怖くないよなぁ」

「そうね、そんなにたくさん人がいたら、雰囲気でないかも(笑)」

などと、口々に言っては、笑いながら歩いていきました。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

のんきな人たち。
一緒に歩きながら、私はちょっと呆れていたのです。

だって、気づいてしまったから。

廃墟にいる大勢の人たち・・・いったい、どこから入ったんだろう?
この道しか廃墟に行く道はないのに、車は一台も停まっていない。

まさか、こんなところまで徒歩で来る人はいないだろうし。

そこは、結構険しい山道だったんです。
そんなところを夜中に大勢で登山できるわけないじゃないですか。

さすがに不安になって、気を付けるように班の人に言ってみることにしました。

暗闇からの声3

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