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フライト - アル中男はヒーローなのか。

昨日は、水曜日は映画の日(レディース・デー)で、映画鑑賞をしてきました。
シネマイレージのカード期限が切れていたのも気づかないほどだったので、TOHOシネマズに行くのはかなり久しぶりです。

デンゼル・ワシントンは若い頃から好きでしたが、最近人間味も増してきて、役柄を問わず演技も見応えがあります。
昨日観た映画は、デンゼル主演の「フライト」でしたが、この映画もそんなデンゼルの演技を堪能できる作品でした。

まず、この映画の主人公はベテランの腕利きパイロットなのですが、人間として「お前、ダメだろ」としか言えないようなダメ男っぷり。

ダメ男というとひ弱なイメージですが、こっちのダメは「人としてしてはいけないこと」をやりまくってるダメっぷりです。

いきなり、素っ裸の女性が出てくるシーンにびっくりでしたが(それがまたスタイル抜群で女性から見てもうらやましいのひとこと)、でっぷりと肉のついたデンゼル(役づくりで太ったそうです)の演じるウィップがそこにあるベッドに寝そべっているのが見えてきて、ああ、なんだかこの人今回はあまり良い役ではないようなと想像を巡らせます。

最近、観たいと直感で思った映画は事前情報なしで行くことが多いため、今回も例に漏れず「奇跡の操縦をした機長が実は飲酒していた」程度の知識で行きました。

実際は「飲酒していた」なんて生やさしいものではなく、こいつはもうどっぷりとアルコールに浸かった立派なアル中。

美人のCAさんとベッドでよろしくやって、起き抜けにコカインをズルっと吸っていざ出発!

「マジかよ」

と画面に向かって言いたくなるくらい、とんでもないパイロットなのです。

アルコールとドラッグでかなり上機嫌にご出勤。
こんなハイな状態で飛行機操縦しちゃうの?!と、もし知っていたら絶対乗りたくないわって思う怖さです。

副操縦士は、なんだか超がつきそうな真面目人間で、そんなハイな機長を見て、なにか変だと感じていますが、何も言わずに乗務します。

国内線なので飛行時間は1時間弱。
特に問題もなく、オン・タイムに離陸しました。

この機長、腕は相当立つ人で、酷い揺れをもたらした乱気流を絶妙な操縦で切り抜け、乗客からは拍手喝采を受けます。
これで、今日も楽勝!と思った途端になぜか不具合発生。
いきなり操縦不能に陥って、機体はどんどん急降下していきます。
さて、乗客は助かるのでしょうか・・・・。

・・・はい、しっかり助かりました。

ここまでは、CMでもやっているので、話してしまっても問題なし。
どうして助かったかは、なかなか面白いのでぜひ映画を見てください。

さて、本人ももちろん助かるのですが、話はここからなんですね。

満席だったにも関わらず、ウィップの機転の効いた操縦で奇跡的に少人数の死者と負傷者を出しただけで済んだ墜落事故。
なぜ操縦不能に陥ったのかすぐには原因が分からぬまま話は進んで行くのですが、救助された時に検査された血液の体内のアルコール濃度が信じられないほど高い数値だったことから、もしこれがバレたらウィップは刑事責任を問われかねない事態に陥ります。

観客には、冒頭から機内にかけての行動で、最初からこいつはアル中だってわかっていますから、さて、どうするのかというのに興味が移っていきます。
ウィップは、当然絶望しかけますが、ここがアル中男の脳の構造なのか、とにかくなんとかならないかと焦り、自分の「保身」のためだけに、あれやこれやと考えて行動していきます。

「私以外が操縦していたら、助かったと思うか?」

こんな質問されてもね・・・。

事故自体は、観ている我々にもウィップが飲酒していたかそうでないかに関係のある事故でないことは分かっていますから、それだけバレなければ、なんとかなっちゃうというのも分かります。

ただね、人間て、そういう絶体絶命の崖っぷちでも、そうそう変われないんですよ。
アル中でしかもドラッグの常習者が、いきなり「やめた」となるわけがない。

その後の行動も見ていてイライラします。

しかし、この人間として最低としか思えないウィップを助けようと、弁護士や仲間が骨を折ってくれるのです。
もちろん、パイロットが飲酒して操縦していたなんてことになったら、会社も監督責任を問われますから、単なる善意ではないのですが、こんなやつ放っておけば?って言いたくなるような自己チュー男なんて、捨てておけばいいのにって思っちゃいました。

この物語は、実は、あるヤク中女性の人生と交差して進みます。
この女性はウィップとは何の関係もないのですが、このパラレルで進む物語が、中盤で重なることになります。

ここは映画で確認いただくとして、事故調査委員会で聴取を受けるウィップには、最後の最後に「人としてそれだけは」という試練が待っているのです。

ストーリー自体は、正直言って最初から先の先まで見えてしまうし、結末も「こうだろうなぁ」と思うと、その通りになる映画です。
普通なら、これじゃつまらないよねと思う展開ですが、この映画は謎解きでもないし、話が分かってしまっても、まったく問題なく見られます。

欧米の映画だから仕方ないのかも知れませんが、この映画でも堕落した人間と神の意志みたいな話がちらほらと出てきます。
ただ、この理屈がどうしてこの映画に必要なのかは、ちょっと分かりにくかったです。
全編を通して、「逆らえない運命」という部分を強調した感もありますが、普通の日本人なら、まぁ、運命かなと考えることも「神のご意志」ってことになるので、その辺の違和感は仕方ないのかも知れません。

最後の最後にウィップにある問いが投げかけられるのですが、それは見てのお楽しみ。

ジョングッドマンがらしい役で出ているので、それもなかなか面白いですよ。

フライト(2012)

原題:Flight
監督 ロバート・ゼメキス 
製作総指揮 シェリラン・マーティン
音楽 アラン・シルヴェストリ
脚本 ジョン・ゲイティンズ

【出演】
デンゼル・ワシントン(ウィップ・ウィトカー)
ドン・チードル(ヒュー・ラング)
ケリー・ライリー(ニコール・マッゲン)
ジョン・グッドマン(ハーリン・メイズ)
ブルース・グリーンウッド(チャーリー・アンダーソン)ほか

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