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英国王のスピーチ - 自分勝手な兄弟を持つと大変だという話?-

この映画「英国王のスピーチ(原題:The King's Speech)」は、イギリスのジョージ6世(独身時代はヨーク公)が主人公です。

ジョージ6世は、1895年12月14日、先代ジョージ5世の次男アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージ・ウィンザーとして生まれます。
王位の継承は、先に生まれた者からですし、彼には後にエドワード8世となるプリンス・オブ・ウェールズの称号を持つ人気者の兄がいて、幼い時から帝王学を学び、王になるために教育されていましたから、まさか次男の自分が王位を継ぐなんて、夢にも思っていなかったはずです。

まぁ、人間なにがあるか分かりませんから、絶対なんていうのはないにしても、兄は元気だけど自分は病弱・・・という状況を考えると、現実的に王位継承なんて考えるような状況じゃなかったのだと思います。

しかし、この兄がまた曲者で、戦争中は最前線を進んで慰問するなど、立派な行動が尊敬を集め、庶民とも気軽に話しをするような気さくな人柄で大変な人気を博していたものの、同時にヨーロッパ屈指と言われたプレイボーイでもあり、あんな人やこんな人との浮名を流しまくっていたそうです。

中でも、離婚歴のあるアメリカ人で、当時は人妻だったウォリス・シンプソンとの交際が明らかになり、こともあろうに離婚させて自分が結婚しようとしていると分かると王族やイングランド国教会から厳しい目で見られることになりました。

イングランド国教会は、離婚など認めていませんし、離婚歴が1度あり、しかも今は人妻であるアメリカ人女性との交際、そして将来の結婚など国王になる身のエドワードには許される道理もなく、弟のヨーク公も「兄さん、いい加減にしてくれよ」と思っていたことでしょう。

しかし、エドワードは反対の声が強いほど本気モード全開で、ウォリスと自分の結婚をアピールしました。とうとう「これでは立憲君主制をも脅かしかねない」と周囲から退位を迫られるに至り、to be or not to be・・・ではないですが、「私が次に述べることを信じてほしい。愛する女性の助けと支え無しには、自分が望むように重責を担い、国王としての義務を果たすことが出来ないということを。(But you must believe me when I tell you that I have found it impossible to carry the heavy burden of responsibility and to discharge my duties as King as I would wish to do without the help and support of the woman I love.)」との有名なスピーチを残して、たった1年弱の王位から退きました。

となると、次はもちろん次男のアルバートが王位継承権を持っていたため、ジョージ6世として即位することになりました。

病気や不慮の事故で亡くなったならともかく、好きな女と結婚したいからと王位を退いて自分に押し付けた兄については、映画ではそこまで描かれていませんでしたが、かなり怒り心頭だったようです。

世間では、「王冠を賭けた恋」なんていわれていましたが、アルバートとしては「ふざけるな!」って感じだったのでしょう。

しかし、即位してしまったのですから、王としての勤めを果たさなくてはなりません。
このジョージ6世には、吃音症という問題があり、独身時代はこの吃音症のためにあまり喋らなくても良いからと海軍の軍人になったほどでした。

彼が吃音症を発症したのは子供の頃のようですが、乳母から受けた虐待や左利きを無理やり矯正されたこと、またX脚だったことで「高位に就く者がそれではいけない」とギブスを填められて激痛に泣き叫ぶほどの体験をしたことで、酷くなったといわれています。

ヨーク公だった頃に外でスピーチの機会はなかったわけではないでしょうから、大衆も彼の吃音のことは知っていたでしょう。

ヨーク公の妻エリザベスは、彼の吃音症を心配し、医者や療法士などに依頼して治療を施しましたが、中でもオーストラリア人のライオネル・ローグの言語療法は功を奏し、彼の吃音は次第に軽くなっていきました。

この映画は、ヨーク公がライオネルと出会い、王となった時に1939年に行った対独宣戦布告時のラジオ演説までの様子が描かれています。

見所は、なんといっても主演のコリン・ファースの演技力です。
兄エドワードとは対照的で、誠実な人柄の王ジョージ6世を見事に演じています。

ライオネル役のジェフリー・ラッシュもそうですし、妻役のヘレナ・ボナム=カーターなど共演者も芸達者ばかりで、物語の運びの素晴らしさも相まって、思わず続けて二度も観てしまいました。

クライマックスのラジオ演説の場面は、圧巻です。

英国王のスピーチ(2010)

原題:The King's Speech
監督:トム・フーパー
脚本:デヴィッド・サイドラー

出演:
コリン・ファース
ヘレナ・ボナム=カーター
ティム・スミス
ハーヴェイ・ワインスタインほか

本物のスピーチはこちら

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