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ただちに問題はない・・・は間違っているのか その2

(かならずその1からお読みください)

科学は万能ではありません。

今「こうだ」からといって、何10年か先も「そう」とは限らないこともあり、「今は大丈夫」と言うと「じゃあ、将来は?」と思うのが心情です。

このようなことから、当初放射性物質の濃度その他で連日会見を行っていた枝野長官が「ただちに問題はない」を繰り返し、国民の失笑を買いました。

「将来どうなるか分からないのに避難させなくていいのか」

「ただちにっていって、じゃあ、何年後かにはダメなの?」

等々、さまざまな批判が巻き起こりました。

事故当初から、政府の広報のお粗末さは明らかで、情報統制ではなく、きちんと分析した情報をしかるべきところから確実に国民に伝えるという努力をしていたら、あっちもこっちもテンでバラバラで信用できそうな情報が分からない・・・ということにはならなかったでしょうし、政府としても、もう少し国民の信頼を得られたのではないでしょうか。

バラバラに出てくる訳の分からない情報。

TVなどでも、あの科学者はこういっているけど、こっちの人はこうだったという状態で、基礎的な知識がない人々は、不信感しか持たなくなって当然だと思います。

これはもう、菅政権の失策以外の何物でもなく、肩を持つ気にはまったくなれません。

では、その政府の失策云々は別として、客観的に見た場合、この「ただちに問題はない」という表現は、間違っていたでしょうか。

最初に書いたように、科学は万能ではありませんが、しかし今まで積み重ねてきた知見を総合的に判断し、物事の基準が作られていることは間違いありません。

万能でないからといって、積み重ねたデータや経験まで否定してしまっては、客観的に冷静に物事を判断することが出来なくなってしまいますから、少なくともある程度長い期間で研究がなされ、積み重ねられたデータに基づいて決められた基準というのは、それを冷静に分析して物事に当てはめ、判断の材料としていかなくてはならないでしょう。

科学をベースにしたコミュニケーションが難しいのは、人々は危険がゼロになることを望みますが、危険はゼロになることは絶対にありません。

例えば、どんなに慎重に行動したとしても、ある日車に跳ねられて死ぬ確率はゼロではありません。
自分は交通法規を守って歩いていても、車が暴走して突っ込んでこないとも限りませんし、以前はトラックの巨大なタイヤが外れて親子を直撃するという悲惨な事故もありました。

そのことを心配するあまり、まったく外出しなければ、安全でしょうか?

車などの事故に遭う確率はぐっと低くなるかも知れませんが、運動不足による弊害が出てくるかも知れませんし、よほど大きな邸宅にでも住んでいない限り、閉塞感でストレスが溜まってしまうでしょう。

ストレスは万病の素と言われるほど体に悪いため、胃に穴が開いたり、癌になる確率が上がるかも知れません。

交通事故に遭う確率(事故の危険度)は下がったとしても、健康で長生きできる確率が上がるとは限らないのです。

今回、枝野長官が放射性物質の濃度のことで会見をした際に「ただちに問題はない」と繰り返したのも、表現としては実は間違ってはいませんでした。

本来は、「今、基準を超える放射性物質を短時間浴びたとしても、危険と言われる基準の計算の素になっているのはその一番濃い濃度の場所に1時間居続けた場合に浴びる量を計算しているため、多少の時間その濃度の放射性物質を浴びたとしても、今後避難したり事故が収束して濃度が下がったりとさまざまに変化する要因があることを考えると、少しの時間浴びていたとしても、ただちにそのことが原因となって健康を害するようなことはない」という意味です。

「ただちに問題はない」

「だったら今浴びたことが原因で10年後にどうなるかは分からないんだな?」

という意味での「ただちに」ではないんです。

ただし、このことは先に書いたようにリスクについての知識などがない場合は、イコール「何年か先は分からない」と捉えられても仕方のない表現なので、使う場合は慎重に、そしてある程度の基礎的な知識をちきんと提供した上で使わないと、間違った解釈をされてしまうことは十分考えなければならなかったのです。

絶対に大丈夫とは絶対にいえない中で、国民にどういう表現を使って説明すれば良いのかということで科学者に相談したかもしれません。

科学者は、絶対に安全などないことを前提に物事を考える人たちですから、客観的に見てこうだという説明をしたのかも知れません。

ただし、それは間違っていなくても、通常このような言葉が一般の人々にどう捉えられるのかという分析をしなかったことが、最大の失敗だったといえるでしょう。

続きは、最近大騒ぎとなった被災地域の被曝限度の値「年間1mSv→20mSv」について考察したいと思います。

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