« ハーブ石鹸の下準備 ~ラベンダー&カモミール~ | トップページ | ロング・ロスト・フレンド@下北沢本多劇場 »

降霊 ~人間、平凡なのが一番・・・なんだけどねぇ~

この映画は、今まで何度か観ているのですが、何度観てもぞっとすることができる面白い映画です。

「降霊(こうれい)」

2001年5月19日公開(1999年製作)
監督:黒沢清

出演:
役所広司 (佐藤克彦)
風吹ジュン (佐藤純子)
きたろう (柏原刑事)
草なぎ剛 (早坂文雄)
岸部一徳 (北見教授)
大杉漣 (ファミレスのサラリーマン)
哀川翔 (神主)
ほか

今、Gyao!で黒沢監督の代表作といってもよい傑作「CURE」が無料配信されています。
連続殺人の話なのですが、なぜか癒しといタイトル(直訳ではなく、監督のイメージで癒しとなったみたいです)。

あることから次々に殺人を犯す犯人が語る、ある事柄が、淡々と描かれた物語をぞっとさせる怖い映画に仕立てていきます。

この降霊も、そんな静かな映画です。

効果音技師の克彦と純子の夫婦は、子供がいないこともあって、中年になった今でもふたりで外に食事に行ったり、何気なく会話したりと、幸せな日々を送っているのですが、平凡なように見えて、実はひとつだけ普通と違ったことがありました。

それは、純子は「見えてしまう」のです。
そう、見えてしまうといえば・・・幽霊です。

この映画は、その幽霊で驚かそうという話ではないのですが、人がいつでも死んだ人を見てしまうという体質だった場合、こんな風になってしまうのか・・・と、考えさせられます。

Kourei_1
オバケといえば、夜・・・なんてことはなくて、ふとしたことで「見えてしまう」し、決して慣れてしまうことはないので、そういう場合はやっぱり怖いんです。

外で働こうとしても、外出すると行く先々でふとしたきっかけで霊を見てしまうため、なかなか適応できません。

自分は、主婦として生活していくことしかないのか・・・そんなモヤモヤしたものが彼女の心にあったとしても、「贅沢よ」というには可哀想な気がします。

優しい夫との生活はかけがえのないものであることはわかっていつつも、純子は何かしら満足できずに人生を送っています。

大学で心理学の研究をしている早坂文雄に呼ばれ、いわゆる「霊媒」のようなこともしてみたりするのですが、特に人に認められるわけでもなく、早坂自体も大学ではちょっと異端なところもあって、充実感を得るようなボランティアではありません。

一方、森で自然の音を録音して帰ってきた克彦が持っていた機材用のトランクに、別の場所で誘拐された少女が犯人から逃げる途中で入り込んでしまい、それに気づかない克彦は、そのトランクを自宅のガレージに置いたままにしてしまいます。

それと交差するように、早川から呼ばれた純子は、誘拐された少女の行方が純子の力で分からないかと言われ、警察に協力することになります。

その後、ビジョンを追って行くと、その少女がなんと夫の仕事用のトランクから見つかってびっくり。

夫は訳が分からず警察だ病院だと慌てますが、それをきっかけに純子は「あの子をどこかに置いて、自分が発見したことにすれば、霊能者として有名になれる」と自分の売名に利用することを思いつき、嫌がる夫に「少しくらい夢を見てもいいじゃない!」とこれまで満たされていなかった不満を爆発させます。

Kourei_2

でも、やっぱり世の中そんなに甘くないんですよ。

そんなことで、警察にコンタクトして「女の子は生きて見つかる」なんて言ってしまうのですが、ひょんなことから夫が間違ってその子を殺してしまったことから、どんどんと破滅の道を歩んでいくことになってしまいます。

どこまでも地味で淡々とした進み方なのですが、だからこそ「怖い」んです。

警察に言おうという夫と、少女が死んでなお利用しようとする妻。
このふたりの少女の死から先の行動の違いが面白いです。

まぁ、最後は何をかいわんや・・・なんですけど、「霊が見える」という怖さと「欲」に憑りつかれた人間の結末の怖さが見事に描かれています。

決して派手なところもない映画ですが、お勧めします。

それに・・・哀川翔が神主の役で出る映画なんて、きっと黒沢監督の映画くらいしかない!と思うのです(笑)

« ハーブ石鹸の下準備 ~ラベンダー&カモミール~ | トップページ | ロング・ロスト・フレンド@下北沢本多劇場 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。